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清水港・みなと色彩計画について

 清水港は、全国に先駆けて民間企業や行政との連携により美しいみなとづくりを行っています。平成3年から29年間。

民間企業や行政など関係者の美しい港づくりへの思い、その実現の積み重ねにより富士山世界遺産に調和した美しい港湾景観を創出しました。この持続的な地域づくりの取組は、時代、社会を日々受けとめ、積み重ねた賜物です。SDGsに先駆け、日常に付加価値を与える工夫をする革新的にチャレンジした証です。

清水港の概要

  西暦600年に始まり1899年の開港場指定より近代港湾としての幕を開けた清水港は、今年(2019年)で開港120周年を迎えます。お茶の海外輸出に始まり、缶詰、オートバイ、楽器等、静岡県内をはじめとした近隣地域の生産品を中心に、臨海部の工業化の進展に合わせ、港域と機能を拡張しました。また、時代の要求によるコンテナ輸送への対応にもいち早く応じ、国内有数の輸出港として成長するとともに、木材、大豆、ボーキサイト等の原材料の輸入港としても、県内及び中部日本経済を支え、高度経済成長期から現在を通して日本で重要な港としての役割を果たしています。

2.清水港・みなと色彩計画-活動の背景・経緯-

 清水港は政令指定都市静岡市の港であり、神戸港、長崎港と並び日本三大美港の一つと評される港です。また、天女伝説の三保の松原や富士山を借景とした日本を代表する素晴らしい風景を持つ静岡県の国際拠点港湾です。しかし当時は他の多くの港と同様に、紅白の煙突や老朽化したタンクや倉庫が建ち並ぶ殺伐とした港であり、その素晴らしい風景が活かされていない港でした。 
 そこで平成2年、工業地化し市民が立ち寄れなくなった港湾空間に生活機能を回復することを目的とする、20代~60代の女性23名で構成された「レディズ・マリン・フォーラム」が立ち上げられました。このフォーラムでは、「食べる」「憩う」「見る・景観」の視点で分科会を設け、1年間のワークショップを行い、「レディズ・マリン・フォーラムリポート」として提言を行いました。その提言をもとに、費用がかからず実効性のある計画として、平成3年に「清水港・みなと色彩計画」が策定されました。

3.清水港・みなと色彩計画-概要-

   平成3年に開かれた「清水港・みなと色彩計画策定委員会」により、臨港地区の500haを港湾機能や将来方向に応じた、それぞれの地区毎にまとまりをもった色彩方針が立てられ、美しい自然景観と調和した人工景観を創出しようという目的のもと、平成4年度から本計画のが実施されました。その地区の建築物、工作物等をそれに即した色彩に塗り替えることにより、住む人、働く人、訪れる人々に快適で活気のある、個性あるみなとづくりを行うことを目指しています。
 計画の実施にあたっては、港湾関連事業者の自主的な取り組みによる届け出制をとっています。当初は塗り替えに費用がかかることや企業に独自のCI(コーポレートアイデンティティ)があることから対象企業の6割強もの賛同が得られず計画の実効性が懸念されました。このため、協力を得やすい色彩構成の提示、色彩計画推進協議会・アドバイザー会議、企業の相談に応じやすい体制などの仕組みがつくられ、協議案件のある企業にはアドバイザーが出向きCG(コンピュータグラフィックス)などを用いた、それぞれの企業の個性や独自性を活かしながら周辺環境との調和を図るような提案を行いました。
 この結果、港湾施設・工作物の塩害防止のために5~7年毎の更新時期に合わせて周辺環境に調和した塗り替えが行われ、年間30~50件の塗り替え相談が行われるようになりました。清水港は物流ヤードや冷凍倉庫群、LNG(液化天然ガス)基地、製造工場群、海水浴場まである多機能な港であり、人のにぎわい空間の日の出地区の対岸にはタンク、煙突、ベルトコンベアの工場群が見えます。この色彩計画の実施により、これらの産業景観を洗練された風景に演出しています。
 この計画の特徴の一つとしてシンボルカラーの設定があげられます。シンボルカラーは、「美しいみなとづくり」のイメージをリードする役割をもたせ施設・工作物に必ず一部に設置することをお願いしています。
 また、清水港の景観として象徴的な機能をもつ施設には、港のシンボルカラーであるアクアブルー(10B7/8)とホワイト(9.5N)で配色計画を行っています。このシンボルカラーの設定は計画策定時、市民・企業の清水港の将来求めるイメージとして挙げられた「刷新した、真新しい」の意味を持つ色として抽出しています。
   

中裏面・シンボルカラー.jpg

4.色彩計画の基本方針
  -世界に誇れる個性的で魅力的な美しい清水みなとまちをつくります- 

1.快適性を高める色彩計画
住む人々にとって…誇りと親しみがもてる景観をつくります。
働く人々にとって…快適な職場環境をつくります。
訪れる人々にとって…楽しい港湾空間をつくります。
2.活力を高める色彩計画
港湾機能と景観特性に配慮し、働く人の意欲を高め誇りをもって、誰もが集える賑わいの場をつくります。
3.個性を高める色彩計画
歴史により積み重ねられた景観を将来に向けて世界にアピールできる、個性的な港をつくります。